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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)1338号 判決 1965年11月17日

主文

一、昭和三七年(ネ)第一、三三八号、昭和三八年(ネ)第二、〇五七号事件各控訴を棄却する。

二、原判決中主文第一項の被告白川こと姜吉煥に関する部分を次のとおり変更する。

控訴人姜栄一、同姜貞康、同姜忠弘は、被控訴人に対し別紙目録記載の建物を収去してその敷地を明渡せ。

三、訴訟費用は第一、二審とも控訴人らの負担とする。

事実

控訴人ら訴訟代理人は「原判決中、控訴人らに関する部分を取消す。被控訴人の控訴人らに対する請求はいずれもこれを棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人指定代理人は主文第一、二項同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述並びに証拠の提出、認否、援用は次に付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これをここに引用する。

一、被控訴指定代理人は「(一)原審における被告姜吉煥が昭和三五年一一月二一日死亡したので、同人の長男控訴人姜栄一、同じく二男控訴人姜貞康、同じく四男控訴人姜忠弘ら三名において相続により右姜吉煥の一切の権利義務を承継したので、右同日をもつて同人が所有していた別紙目録記載の建物(原判決添付第二物件目録13乃至15記載の建物)は右控訴人ら三名の共有に帰し、同人ら三名においてその敷地を占有するに至つた。(二)従つて右姜吉煥の訴訟承継人である右控訴人ら三名は右姜吉煥に代つて右建物を収去してその敷地を明渡す義務がある。」と述べ、控訴人ら訴訟代理人は、「被控訴人主張の右(一)の事実は認める。」と述べた。

二、証拠(省略)

理由

当裁判所は被控訴人の控訴人らに対する本訴請求は正当として認容すべきものと判断する。その理由は、次のとおり補足するほか、原判決理由中控訴人ら関係部分に説示するところと同一であるからこれを引用する。

一、当審における証人佐々木喜久男の証言及び控訴人本人稲場弥市の供述中、控訴人らの同人ら(控訴人姜栄一、同姜貞康、同姜忠弘については同人らの先代姜吉煥)が、夫々その占有する土地を小石川区から借り受け、または文京区からその使用を承認された旨の主張にそう部分は、原審における証人大宝要蔵の証言並びに原審及び当審における証人井形卓三の各証言に照らし措信し難く、他に右控訴人らの主張事実を認めるに足る当審における新たな証拠はない。

二、被控訴人主張の一、(一)の事実は当事者間に争がない。従つて原審における被告姜吉煥の訴訟承継人である控訴人姜栄一、同姜貞康、同姜忠弘ら三名は別紙目録記載の建物を収去してその敷地を明渡す義務があること明らかというべきである。よつて原判決は相当であつて本件各控訴は理由がないから民事訴訟法第三八四条によりこれを棄却することとするが、原審における被告姜吉煥の訴訟承継人である控訴人姜栄一、同姜貞康、同姜忠弘ら三名は、前示のように別紙目録記載の建物を収去してその敷地を明渡すべき義務があるから、その限度で原判決を変更し、なお訴訟費用の負担につき同法第九六条第八九条第九三条を適用して主文のとおり判決する。

別紙

物件目録

(一) 東京都文京区白山御殿町四一番地の二所在

家屋番号同町四一番一九

一、木造亜鉛メツキ鋼板葺平家建居宅一棟

建坪 六坪七合五勺

(二) 右同町同番地の二所在

家屋番号同町四一番二〇

一、木造瓦葺平家建居宅一棟

建坪 六坪

(三) 右同町同番地の二所在

家屋番号同町四一番二一

一、木造瓦葺平家建居宅一棟

建坪 一〇坪五合

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